テナント物件を探し、契約することはビジネスの第一歩です。
適切な物件選びから契約まで、注意すべき点は数多くあります。
この記事では、その重要性と基本的な流れについて、ご紹介します。
テナント物件の契約の流れ
テナント物件を契約する際、まずは自分に合った物件を探すことから始まります。
ネットや不動産会社を通して複数の物件を比較検討し、内覧を行います。
見つかった物件が希望に合っているかどうかを確認するため、改装工事や造作工事の必要性や費用も考慮に入れ、現地調査を行うことが大切です。
この時、内装業者などの専門家の意見を参考にすると良いでしょう。
気に入った物件が見つかれば、不動産会社に申し込みを行います。
申し込みは、契約をする意思の確認のためのものであり、この段階ではまだ正式な契約ではありません。
申し込み書には、住所や氏名、年齢、職業、年収などの情報を記入します。
次に貸主による審査が行われます。
貸主は申し込み書を基に、借り手として適切かどうかを判断します。
この審査は一般的に一週間程度かかり、この段階で断られることもあるため備えておくと良いでしょう。
審査を通過したら、契約に必要な書類を用意しましょう。
個人の場合は住民票、身分証明書、連帯保証人の印鑑証明書などが必要です。
法人の場合は法人の謄本、印鑑証明書、決算書の写しなどが必要となります。
また、契約内容によって異なりますが敷金、礼金、仲介手数料などの費用も準備が必要です。
契約の際には重要事項説明書が交付され、その内容について不動産会社から説明があります。
これは物件概要や契約内容を詳しく記載したものであるため重要です。
不明点があればその場で質問し、納得した上で契約書に署名、押印します。
契約書に署名することは、その内容に同意するという意味を持ち、契約が成立した時点でキャンセルは基本的にできなくなりますので、注意が必要です。
テナント物件の契約の諸費用
先ほども少し触れた内容ではありますが、テナント物件を契約する際には、さまざまな初期費用がかかります。
これらの費用には、保証金、前家賃、仲介手数料、保険料、保証会社利用料などが含まれます。
保証金は家賃の滞納などに備えて支払うもので、一般的に賃料の10か月分が相場とされていることが多いです。
前家賃は契約時に前もって支払う家賃で、入居月と翌月分を支払うのが普通です。
仲介手数料は不動産会社に支払う費用で、賃料の1か月分を上限として不動産会社ごとに設定されます。
保険料は、火災保険や製造物賠償責任保険などに加入する際に必要となります。
保証会社利用料は、家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分が一般的です。
初期費用を抑える方法として、敷金・礼金がかからない物件を選ぶ、貸主や管理会社に賃料交渉を行うなどの方法があります。
家賃が下がると、保証金や礼金なども一緒に下がります。
ただし、物件の人気度によっては交渉が難しい場合もあるため、注意が必要です。
これらの初期費用は、店舗開業において重要な部分を占めます。
内装費用や設備投資に費用を充てるためにも、初期費用を計画的に抑えることが重要です。
テナント物件を契約する際の注意点
テナント物件を契約する際には、特に以下のような点に注意を払うことが重要です。
1.契約前の検討事項
まず、店舗のコンセプトやターゲット顧客を明確にし、それに合った立地やサイズ、設備の条件を検討します。
例えば、ファミリー層をターゲットとする場合は、住宅街で駐車場付きの物件が望ましいでしょう。
一方で、サラリーマンをターゲットとする場合は、オフィス街の駅近物件が適しています。
エリアや賃料などについても優先順位をつけて考えましょう。
2.原状回復に関するルールの確認
契約終了時には、原状回復の義務があります。
これは、店舗を利用する前の状態に戻すことを意味し、契約書にはその詳細が記載されている必要があります。
原状回復に関する解釈の違いからトラブルになることが多いため、契約前に内容を十分確認しましょう。
3.契約期間と解約条件の確認
テナント契約には、契約期間が設定されており、一般的には2~3年です。
契約解除の条件や解約時の違約金などの財務的な内容も契約書に記載されるべきです。
また、中途解約の際の事前通知条件や、貸主からの契約更新拒否に関する通知期限なども確認が必要になります。
4.電気・ガスなどのインフラ契約
物件によっては電気やガスなどのインフラ契約がテナント側で必要になることもあります。
インフラに関する契約内容や料金の相場を契約前に確認しておくことが望ましいです。
5. 内装工事に関する規定
飲食店や美容関係の店舗など、内装工事が必要な場合があります。
内装工事には別途費用が発生し、これはテナント契約とは別に依頼する必要があります。
内装工事の費用や業者選定に関する条件も契約書で確認が必要です。
テナント契約は複雑な内容が多く、注意点も多いため、契約書の内容を十分に理解し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。
テナント物件選びのコツ
テナント物件を選ぶ際は、以下のポイントを考慮することが重要です。
1.店舗のコンセプトと売り上げの予測
まず、店舗のコンセプトを明確にし、想定される集客人数や客単価を基に月間の売り上げを予測します。
これに基づいて、賃料の目安を設定すると良いでしょう。
一般的には、月の売り上げの約10%が賃料の目安とされています。
2.初期費用の算出
初期費用としては、最低でも賃料の約10ヶ月分を見積もると良いでしょう。
初期費用、保証金、仲介手数料、前家賃、保険料などが含まれます。
3.物件のタイプの選定
物件がスケルトン状態か居抜き状態かを確認し、自分の店舗のコンセプトに合ったタイプを選ぶことが大切です。
スケルトン物件は内装工事に費用がかかりますが、居抜き物件は既存の設備を利用できますが、自由度に制限があります。
4.物件の内見と選定
実際に物件の内見を行い、店舗の広さ、場所、賃料の予算など絶対に外せない条件を基に選びます。
また、インターネット情報だけでなく、不動産会社から未公開物件の情報を得ることも有効です。
物件の内見は、内装や設備の確認に加えて、周辺環境や競合店の有無なども観察することが重要です。
5.入居申込みから契約までの流れ
物件を決定したら入居申込みを行い、審査を通過したら重要事項説明を受けて賃貸借契約を結びます。
契約書には、契約期間や更新条件、解約事前予告などの重要事項が含まれているので、これらをしっかりと確認することが重要です。
以上のポイントを押さえて物件探しを進めることで、成功に繋がるテナント物件選びが可能になります。
まとめ
テナント物件の契約は、店舗を成功に導くための大切な一歩です。
物件選びの際は、店舗のコンセプト、想定される売り上げ、賃料の目安、そして初期費用の計画が重要です。
内見時には、物件自体だけでなく周辺環境もチェックし、物件の条件、契約期間、解約条項など契約書の内容をしっかりと理解しましょう。