テナント契約は、物件を借りるだけではなく、その後の経営や事業の安定性を左右する重要な決断です。
契約内容をきちんと理解していなければ「思った条件で営業できなかった」「解約時に想定外の費用が発生した」といったトラブルにつながります。
この記事では、初めての方でも安心して契約できるよう、契約前に押さえておくべき基本ポイントから、契約中の注意点までを段階的に解説します。
STEP1:契約前に押さえておくべき基本ポイント
テナント契約は、単に物件を借りるだけでなく、その後の経営や集客にも直結する大きな決断です。
「とりあえず契約してみたら、解約が難しくなり経営に大きな負担を抱えた」という声も実際にあります。こうした失敗を防ぐためには、契約前の準備段階で確認しておくべきポイントをしっかり理解しておくことが大切です。
契約形態を理解しておく
テナント契約には主に2種類があります。
- ・普通借家契約
一般的な契約形式で、契約期間の満了後も基本的には更新されます。
長期的に事業を続けたい場合に向いており、安定して経営計画を立てやすいのが特徴です。 - ・定期借家契約
契約期間の終了と同時に契約が終わる形式です。更新が前提ではないため、期間終了後は再契約や移転が必要になります。短期間だけ店舗を出したい場合に向いていますが、知らずに契約すると「想定外に出ていかざるを得なくなる」という事態も起こり得ます。
契約書の冒頭にはどちらの形式か必ず記載されているので、見落とさず確認しましょう。
初期費用の内容を把握する
テナント契約時には家賃以外にも多くの費用が発生します。おおよその目安は以下の通りです。
- ・保証金・敷金
賃料の6〜12か月分が多く、例えば月20万円の物件なら120万〜240万円程度が必要です。 - ・礼金
1〜2か月分が一般的で、エリアや物件の人気度によって変動します。 - ・仲介手数料
0.5〜1か月分が目安です。 - ・看板や内装工事費用
小規模な事務所で数十万円、飲食店など設備が必要な場合は100万円〜数百万円かかるケースもあります。
このように、初期費用だけでも家賃の10か月分以上が必要になるケースが多いため、資金計画の段階で具体的なシミュレーションをしておくことが大切です。
原状回復・内装工事のルール
テナント契約書には必ず「原状回復の範囲」「内装工事の制限」についての項目があります。
原状回復とは、退去時に借りたときの状態に戻す工事で、多くの場合、費用は借主が負担します。契約前にこの範囲を確認しておかないと、「予想外に高額な修繕費が発生した」というトラブルにつながります。
また、業態によっては、看板設置や厨房機器の設置に制限がある場合もあります。事業の内容に沿った内装が可能か、事前に必ずオーナーや管理会社に確認しましょう。
契約前の段階でできること
- ・契約内容を一度で決めようとせず、気になる条件は必ず質問しておく
- ・不明点は専門家(不動産会社、行政書士など)に相談して理解してからサインする
- ・事業計画の見通し(売上・経費)を立て、賃料負担率(売上に対する家賃の割合)が適正かを確認しておく
これらの準備をすることで、「想定外の条件で困った」という状況を防ぎやすくなります。
加えて、飲食業や医療・美容業などの業種では、消防法・建築基準法・用途地域などの法令や規制による制約がある場合があります。
例えば、換気設備や駐車台数の基準が厳しくなることもあります。
契約を決める前に、物件が希望の業態で営業できるかを必ず確認しましょう。
STEP2:契約書で必ず確認したい細かい条件
契約書には細かい条件が多く盛り込まれており、見落とすと後で不利になることがあります。
- 用途制限:契約できる業種、営業時間、看板の出し方など
- 特約条項:ビルオーナー独自のルール(禁止事項など)
- 設備・修繕費用の負担:故障時に誰が費用を負担するか
- 解約条項:解約予告期間や違約金の有無
こうした内容は交渉できる場合もあります。疑問に感じた部分は遠慮なく相談しましょう。
STEP3:契約時・引き渡し時の注意点
契約が決まったら、引き渡しの流れにも注意が必要です。
引き渡しの際は、以下のような点を確認しておくと安心です。
- ・内装工事前の状態を写真で記録しておく
- ・引き渡し時に設備・備品の状態を立ち会いで確認する
- ・鍵の受け渡しや保証会社の手続きは必ず書面で残す
また、火災保険や損害保険の加入が義務となることが多いため、事前に必要書類を準備しておくとスムーズです。
STEP4:トラブルを防ぐための工夫
契約後に「思ったより条件が合わなかった」という事態を避けるには、次の工夫が役立ちます。
- ・開業前に売上シミュレーションを行い、無理のない賃料計画を立てる
- ・内装や設備の制限を確認し、希望の業態に合っているかを検証する
- ・事業計画の段階で専門家に相談し、契約書の内容を一緒に確認する
特に初めてテナントを借りる方は、不動産会社のサポートを受けることが大切です。
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まとめ
テナント契約は、物件を借りるだけの作業ではなく、今後の経営計画や事業の成長に直結します。
契約前に契約形態や初期費用、原状回復、内装制限などの条件を理解しておくことで、後のトラブルを大きく減らせます。
不明点はそのままにせず、専門家や信頼できる不動産会社に相談しながら進めることが、安心してテナント契約を結ぶための最善策です。











