「どのテナントが自分の事業に合うのか分からない」「種類が多すぎて選べない」と悩んでいませんか。
ビルイン型・路面店・商業施設型・ロードサイド型といった代表的なテナントは、それぞれ立地条件や費用、集客力の特性が異なります。さらに近年ではシェア型やポップアップ型といった新しいタイプも登場し、選択肢がますます広がっています。
この記事では、主要なテナント種類の特徴・メリット・デメリットをわかりやすく解説し、業種ごとにどのタイプが向いているかの目安もご紹介します。テナント探しの基礎知識として、ぜひ参考にしてください。
STEP1 テナントの種類と特徴を押さえよう
テナントを選ぶ前に、まず種類ごとの特徴を正しく理解しておくことが大切です。形態によって集客方法、ターゲット層、必要な初期費用などが大きく変わるからです。ここでは代表的なテナントタイプとメリット、デメリットを解説します。
ビルイン型
オフィスビルや複合ビル内にあるテナントです。駅前や繁華街などアクセスの良い立地に多く見られ、ビジネスパーソンや近隣住民の利用が期待できます。医療系(歯科、眼科など)やサービス業、専門店舗に多く選ばれています。
- メリット
駅近くで安定した人通りがあるため集客力が高い
周辺の客層が明確なのでターゲットを設定しやすい - デメリット
賃料や保証金が高くなりやすい
ビル内に同業種が多い場合は差別化が必要
路面店型
商店街や大通り沿いに直接面しているタイプ。店舗の存在感が大きく、通行人の目に自然に触れます。物販やサービス業だけでなく、飲食業でも人気です。
- メリット
店舗の視認性が高く、通行人の集客力が大きい
広告を大きく出さなくてもブランドの存在感を出せる - デメリット
賃料が高く初期費用も大きくなる傾向
人気エリアは空き物件が少なく競争率が非常に高い
商業施設型
ショッピングモールや百貨店の中に入るタイプ。施設全体で集客を行うため、人通りが多く安定した集客が見込めます。小売業、飲食業、美容系など幅広い業種が入ります。
- メリット
施設全体の集客力が高く安定した来店が見込める
施設が広告・運営管理を担ってくれるため集客負担が軽い - デメリット
営業日・時間が施設の規定に縛られる
売上歩合が発生する場合があり、家賃以外の負担が大きい
ロードサイド型
郊外の幹線道路沿いに建つ独立型の店舗。駐車場を確保しやすく、ファミリー層や車でのアクセスが中心の顧客に向いています。
- メリット
広い面積を低コストで確保できる
車での集客を想定しているため、家族連れや郊外型店舗に向く - デメリット
車を使わない顧客にはアクセスが不便
競合も多く、外部の駐車場や看板維持など管理コストがかかる
シェア型・ポップアップ型
短期契約や複数社でシェアする新しい形態です。低コストで始められるので新規開業者に人気です。
- メリット
短期間から試せるため初期投資が抑えられる
新業態やテストマーケティングの場として最適 - デメリット
長期間の安定利用には不向き
間取りや内装の自由度が低い
STEP2 種類ごとの費用目安と契約の特徴
テナントを借りる際には、家賃だけでなく保証金や契約形態も重要です。費用構造は種類ごとに大きく異なります。以下の表は都心部の相場の一例です。
| 種類 | 初期費用の目安 | 坪単価 | 契約の特徴 |
|---|---|---|---|
| ビルイン型 | 保証金6~12ヶ月 | 2〜5万円 | 普通借家が多い |
| 路面店型 | 保証金6~10ヶ月 | 3〜6万円 | 競争率が高い |
| 商業施設型 | 保証金+売上歩合 | 2〜4万円 | 営業時間が制限される |
| ロードサイド型 | 保証金3~6ヶ月 | 1〜2万円 | 駐車場管理費が必要 |
| シェア・ポップアップ型 | 小額(数十万程度) | 施設次第 | 短期契約が可能 |
契約内容は普通借家・定期借家で異なり、特に商業施設型は売上歩合制のケースもあります。家賃だけで判断せず、トータルコストで比較するのが大切です。
STEP3 業種別に見るおすすめのテナントタイプ
テナントの選び方は業種や出店目的によって大きく変わります。同じ立地条件でも、業種によって集客方法・求める設備・適したターゲットが異なるためです。ここでは代表的な業種ごとに、どのタイプが合いやすいのかを理由とともに解説します。
飲食業におすすめのテナント
飲食店は、立地や人通りの多さが売上に直結するため、路面店型やロードサイド型が最も人気です。
路面店は通行人の目に入りやすく、新規顧客の集客に強いのが特徴です。カフェやベーカリー、居酒屋など、入りやすさを重視する業種と相性が良いです。
ロードサイド型は駐車場を確保できるため、ファミリー層をターゲットとしたレストランやファストフードチェーンなどに向いています。敷地が広いので大型の座席数やドライブスルー対応も可能です。
小売業におすすめのテナント
物販や小売業は商業施設型や路面店型が向いています。
商業施設型では、施設全体の集客力によって多くの顧客層を取り込めるため、衣料品・雑貨・家電量販店など幅広いジャンルで選ばれます。店舗同士の相乗効果も期待できます。
一方、ブランドや専門性の強い店舗は、路面店型で独立したショップを構えることで差別化しやすく、ブランドの世界観を打ち出しやすい利点があります。
美容・医療系におすすめのテナント
美容サロンやクリニックは、ビルイン型や商業施設型が適しています。
アクセスが良く、駅前のビルやショッピングモールにあることで通いやすさを重視する顧客のニーズに応えられます。医療系ではエレベーターやバリアフリー設備が整っている点も大切です。
美容院やエステは商業施設に出店すると、施設の顧客動線と連動して新規顧客を獲得しやすくなります。
物流・倉庫業におすすめのテナント
物流や倉庫、製造の拠点にはロードサイド型が最も選ばれています。
郊外型で広い敷地を確保でき、トラックの出入りや資材の搬入がしやすいのが大きな特徴です。都市部ではコストが高くなるため、幹線道路沿いや産業集積エリアが選ばれる傾向にあります。
新規開業・テスト出店におすすめのテナント
新しい業態を試したい場合や、小規模な資本で挑戦したい場合はシェア型やポップアップ型が適しています。
シェア型は初期費用を抑えながら複数事業者で共用スペースを利用できるため、リスクを小さくスタートできます。
ポップアップ型は短期出店で顧客の反応を確認できるため、マーケティング目的での利用が増えています。特に近年はECショップがリアル店舗の顧客接点として利用する事例も増えています。
STEP4 テナントを選ぶ際に押さえたいポイント
テナント探しは焦らず計画的に進めることが大切です。次の流れを意識すると失敗が少なくなります。
- ・事業計画とターゲット層を明確にする
- ・予算と希望エリアを設定する
- ・種類ごとの特徴を比較して候補を3つ程度に絞る
- ・内見で設備・周辺環境・制約条件を確認
- ・契約時に更新条件や原状回復の義務を必ずチェック
物件の立地や種類は売上に直結します。条件だけでなく、運営しやすさ・集客力・競合状況を総合的に見て選びましょう。
まとめ
テナント選びは事業の成否を大きく左右します。種類ごとの特徴を理解し、費用・契約条件・ターゲット層を総合的に判断すれば、自社に最適な物件が見つかります。計画的に比較・内見・契約を行い、後悔のない出店につなげましょう。











